2015-11

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 抵抗権について考察する

 抵抗権について考える

 九月にフランスを訪れた。初めてのヨーロッパである。
その旅の中で、今でも忘れられない光景があるので紹介したい。
 それは、バスでシャルトルからパリへ向かう高速道路上の出来事であった。
反対車線から、緑、黄、オレンジと、様々な色の農業用トラクターが、まるでパレードのように、こちらへ向かって来るではないか。高速道路とトラクター。何とも珍妙な組み合わせである。

 これは何でも、農業組合が農家にかかる税金に抗議するための行動とのこと。
いわばトラクターによるデモ行進である。それを一般道路ではなく高速道路で行うところが何ともすごい。
トラクターが行進している間は一般車両の通行は不可能であり、その影響は甚大なものがあるであろう。
「税金に抗議する農業組合のトラクター百台がパリに向かった」との情報は、既に、ツアーの添乗員からもたらされてはいたが、それを目の当たりにすることになろうとは。

 この得がたい体験を通じて私の脳裏をよぎったのは「抵抗権」という言葉である。
言うまでもなく権力に対する人民の「抵抗の権利」は、17世紀後半、イギリスのJ・ロックにより「革命権」とともに民主主義の基本原理として明確に理論化された。そして、その理論がルソーを経て、かのフランス革命へつながったことは歴史の教えるところである。
 17世紀から18世紀にかけての市民抵抗、市民革命は、絶対王政に対するものであったが、21世紀の今日においても、この「抵抗権」の考え方は生きている。
20世紀のファシズムを例に挙げるまでもなく、民主的な方法で選ばれた政権においても、権力は常に集中化、強大化のベクトルを持ち、暴走の危険を孕んでいるからだ。

 選挙による代表を通じて民意を反映する議会制度だけが民主主義ではない。
権力の「分散」と「市民による制御」こそが民主主義の中枢課題なのだ。J・ロックには権力の本質に対する鋭い洞察と「抵抗権」の発動主体たる市民へのオプチミズムがある。彼の理論が民主主義の古典とされるのは、そのためである。

 フランスにおけるトラクターのデモ行進は、特定団体の特定利害に関わる特殊な事例でああり、そのことからただちに「抵抗権」を云々すべきではないとの考え方もあろう。しかし、特定あるいは一般を問わず、効果的な意見表明が可能かどうかは、「抵抗権」の実効性にかかわる問題である。
トラクターのデモ行進は、首都パリへ向かう高速道路の一部封鎖を意味するのであるから、経済活動その他にかかわる影響は測り知れないものがある。にもかかわらず、それを容認あるいは許容する市民と政府の存在がある。フランスという国の民主主義の「懐の深さ」がある。

 わが国においても、「路上民主主義」や「カウンター・デモクラシー」なる言葉を耳にするようになったが、今まさに民主主義の成熟度が問われているのではないだろうか。
                                高橋 悟 (自治体政策研究所・研究員)

 抵抗権について考察する »

スポンサーサイト

«  | ホーム |  »

カテゴリ

イベント (2)
特集 (0)
当会について (1)
その他 (14)
シンポジュウム (2)
政策提言 (5)
研究所員の所見 (5)
自治体職員 (1)
新聞記事 (2)
公開研究会 (5)
研究会報告(論稿) (2)
自治体議会 (1)
自治基本条例 (1)
自治体理論 (5)
定例読書研究会 (5)
北海道自治体学土曜講座 (5)
追悼 (1)
自治体学講座 (2)
自治体学会 (1)

最新記事

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。